【書評】破獄
どうも。takaです。今回は吉村昭氏の「破獄」についての感想を書いていきたいと思います。
ストーリー
とても頭がキレる無期刑囚の佐久間清太郎が、刑務官が常に見張っている厳重な状況下でも脱走をすることが出来、作中で一回だけでなく何回も脱走しました。刑務所の管理状況、刑務官の処遇など、刑務所に関することが書かれており、この作品はそんな刑務所で働く人達などの話も入った物語です。
刑務所とは
刑務所は、ご存知の通り法を犯した者に罪を償わせるための施設です。刑務官が常に監視しており、規則はとても厳しくて自由が利かず、逆らったりすれば罰を受けることになります。
この作品では、刑務所のシステムや刑務所で勤務している刑務官について書かれています。
東北や北海道の冬はとてつもなく寒いですが、脱走しようとする者がいた場合、すぐにとらえることが出来るように服装を軽くしています。そのため、刑務官にとって冬はすごくキツイです。
この作品を読んで思ったことは、受刑者に対してどのように接するのが良いのか、についてです。
佐久間清太郎は、作中で囚人は平等に接しなければならないと思っている刑務官に対し、「あんたらがいちいちうるさいから脱走したくなるんだよ」というような言葉を言っています。
学校でも一部の生徒だけ例外を出してしまうと、他の生徒から不満の声が出てきます。「なぜあいつは許されて俺は許されないんだ」等。
刑務所でも厳しくしないと国民等から「甘い」等の不満の声が出てきます。
無理矢理従わそうとしたら脱走をされる可能性がある。かといって一人一人の要望を聞くと叩かれそう……。しかも、そのせいで「刑務所に入っても大したことが無い」と思い込んで犯罪行為が増える可能性も……。
この本は刑務官視点で読めるので、刑務所側の苦労等を感じ取れます。
刑務所から脱走しても、その先に希望は無い
もう一つ思ったことは、受刑者は刑務所を脱走した所で、外で生きることは困難なのでやっても仕方が無いということです。
顔を見られたら通報されますし、警察は総動員で捜索するので抵抗するだけ無駄で、捕まるのも時間の問題。自分1人の力ではどうにも出来ないですし、だからといって協力者を作るのも期待出来ません。協力したら自分も犯罪者になってしまうので……。
犯罪を犯すつもりはもちろん無いですけど、もし自分がこの先犯罪を犯してしまったとしても、脱走は考えず、刑期を終えようと思いました。
この本は刑務所の中の世界が見れる所が面白いです。