【小説】島はぼくらと|居場所は自分にとって居心地が良い所
島は住みたいと思って移住して来たり、生まれ育った人にとっては進学・就職のためにいずれ出て行かなければいけないことを視野に入れる。
そんな島の生活を描いた作品が辻村深月さんの作品『島はぼくらと』
こちらでは『島はぼくらと』の感想を書いていきます。
【感想】
【1】移住者についても描写されている
瀬戸内海にある小さな島・冴島を舞台にしたこの作品では、島で育った高校生の青年達がメインではありますが、都会の生活に嫌気が差したり、周りの期待に疲れた等、複雑な事情で島にやって来た移住者の人も出てきます。
移住者の中でも、特に多葉田蕗子さんの過去は印象的でした。
水泳でメダルを取ってから変わってしまった周りの反応に辟易し、冴島にやって来た過去を持っています。そしてある言葉に触れたことで冴島で暮らしたいと思うようになりました。
生まれ育った土地だからといって決して良い思い出にはならないし、大切にしてくれる訳ではないんだと感じさせます。宣伝道具に扱ったりと、現金な人達‥‥‥
【2】故郷は自分にとって住み心地が良い所
そういったエピソードから、故郷は自分がどこで生まれ、どこで育ったかじゃなく、これまで住んで、一番居心地が良かったり、自分らしくいることが出来る所なんだ!!
と思いました。
事情があってよそからやって来たとしても、前よりも気楽に生きることが出来る場所、それが故郷なんだと思わせてくれる作品でした。
故郷(こきょう)は生まれた土地の意味ですが、『ふるさと』と読むとその人にとって古くからゆかりの深い所、または馴染んだ場所という意味にも捉えることが出来ます。
だから生まれた場所じゃなくても、周りからよそ者だと思われていたとしても、自分が気に入っている所なら故郷だと堂々と胸を張って良いんですね。
移住をした人、したいと思っている人には響くものがあるんじゃないかと思うのでぜひ読んでみるといいでしょう。
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