のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【小説】クローバーナイト|家族の幸せを守るために‥‥‥(感想)

 結婚をして子供を産むと、仕事中に子供のお世話を頼める保育園のこととか、同じ保育園に通っている子供やその親との付き合いが出てきます。

 そんな様子を描いているのが辻村深月さんの『クローバーナイト』

 以下では『クローバーナイト』の見所をお話しします。多少のネタバレはご了承下さい。

 

クローバーナイトのここがすごい!!

【1】子供を取り巻く関係が詳しく描かれている

 この作品の魅力は子供がまだ小さい時期に絡むお話である保活・誕生会・受験・子育てといったリアルなお話が具体的に描いています。

 保活というのは保育園に入れる可能性を上げるための活動のことで、親が仕事をしているか否かといった家庭環境で変わります。確実に入れるための手段として離婚という言葉も出てきています。

 受験では、色々なことを吸収しやすい時期であるうちに習い事をさせたり、塾に通わせたり、様々な人脈を作るとか。

 よその子供の誕生会では自分の子供がもらったプレゼントに釣り合ったものをあげなければいけない、他の人とダブってはいけないという暗黙の了解とか、共感することばかりでした。

【2】子育ては共同でやらなければならないことだと認識出来る

 この作品の視点はメインに出てくる鶴峯家の父・裕の視点で進んでいきます。裕は妻の志保・長女の莉枝未・長男の琉大の4人暮らしで、妻が社長で忙しいこともあるためか、仕事もしつつ、積極的に育児に携わる。いわゆるイケダンです。

 そんな裕は男子だからこその視点で各家庭の問題を見抜き、家族の問題を解決に導いていきます。

 クローバーの三枚の葉は信仰・希望・愛を表し、四つ葉になると幸せも含まれます。ナイトは騎士。自分の家族だけでなく、よその家族の幸せも守る。

 この作品のタイトルであるクローバーナイトはまさに裕のことを指しています。

【感想】子育ては大人の試練

 全体を通じて、子供にとって勉強が試練なら、大人の試練は子育てなのだと思いました。

 そして、子供絡みの人付き合い、夫婦の関係等の大変さを見せつけられました。こんなに大変だと心の余裕が無くなって子供に当たってしまうことも仕方が無いのだろうかと思いました。

 しかし、子供に当たるのは間違った行為。子供が小さい時期が大変なのは当然ですし、生まれて来た子供に罪は無い。何よりストレスをぶつけられる子供が可哀想で、しかも子供に当たるのは自分を否定しているようにも思えます。「あなたは子供の頃手がかからなかったのか?」と問われたらどう返すのでしょうか?

 それに、保活にしても受験にしても、子供のためじゃなくて自分のためにやっているんじゃないかって感じる部分も多かったです。

 今の時代は夫婦共働きが当たり前で、その仕事が子育ての障害になることもある。家族を養うためとはいえ、それだけでは幸せにはなれない。疲れていても出来るだけ多く子供とコミュニケーションを取らないといけない。それは昔も同じだったはず。昔だって本当は父ともっと関わりたかったと思っていたのではないでしょうか?その時代の生まれじゃないから想像でしかないですが。

 子供のことで苦しい時は夫婦だけでなく、近所の友人に助けてもらえることもあるかもしれない。そういうつながりがあるとありがたいのかもしれません。助け合いですね。

 子育て中の人に読んでほしい作品です。

 

 ちなみに鶴峯家の家庭が幸せそうだったので、理想の家族として挙げて欲しいと思っています。

 

ご購入はこちら☟