【書評】どくさいスイッチ(ドラえもん)
どうも。takaです。今回は、ドラえもん(15巻)に収録されている「どくさいスイッチ」について話していきたいと思います。
あらすじ
野球の試合で惨敗し、ジャイアンはご立腹。負けた原因はのび太にある。とジャイアンは腹を立て、のび太の頭をバットで殴りつけます。家に帰った後、ドラえもんに「ジャイアンなんていなくなればいい」と言います。そして、ドラえもんは「そんなこと考えるの……」と、「どくさいスイッチ」という道具を出します。
この道具は、スイッチを押しただけで人が消えてしまうという道具です。
独裁者はこの道具を使って逆らう人を消してきたとドラえもんは言います。のび太はこの道具を持って外に出て、いくらジャイアンと言えども、消すのはさすがに気の毒だと考えている所にジャイアンに会い、さっきの殴り残しとしてバットで殴りかかって来ます。そして、のび太は「ジャイアンなんて消えてしまえ!!」とスイッチを押してしまいます。すると、ジャイアンは本当に消えてしまったのです。
消した後
ジャイアンなんて消えてしまえと思っていたにも関わらず、本当にジャイアンを消してしまった後、「恐ろしいことをやってしまった……」と恐怖に駆られ、のび太の気持ちは晴れませんでした。その後、落ち込んでいる所をしずかちゃんに声を掛けられ、ジャイアンを消してしまったことを話しました。
しかし、しずかちゃんは、「ジャイアン?それ誰のこと?」と、ジャイアンのことを覚えていませんでした。暴れん坊のガキ大将だと言っても通じず、慌てたのび太はジャイアンの親の所に行きました。しかし、「ウチにはそんな子いない」と言われる始末。
どうやらこのスイッチで消したら、消した人間は初めからこの世にいなくなったことになるみたいだとのび太は認識しました。
すると、突然スネ夫がのび太をバットで殴りつけ、「今日のゲームはオメエのせいで負けたんだ」と言ってきました。まるでジャイアンになったかのように。
どうやら、人を消した場合、他の誰かが消えた人間の性質を引き継ぐみたいです。スネ夫に追いかけ回されたのび太は、勢いの余り、スネ夫も消してしまいます。
すると、次々に他のキャラクターがのび太を責め立て、のび太はそれに耐えきれず、「もう誰もかれも消えてしまえ!!」と、うっかりスイッチを押してしまい、世界中の人間を消してしまいます。
ついに自分一人に
世界中の人間を消して「えらいことをやってしまった」と思ったのび太ですが、「もううるさいことを言ってくる親も教師もいないんだ」と開き直って自分は独裁者だと一人だけの世界で生きていくことを決めます。
欲しいものも食べたいものも何でもタダで手に入る。幸せだと思っても、次第に寂しさがこみあげてきて「ジャイアンでも良いから出て来てほしい」と言います。すると、「気に入らないからと言って人を消してもキリがないことになるんだ」と、ドラえもんが出て来てのび太に言います。そして、「これは独裁者を懲らしめるための道具なんだ。もとに戻そう」と、消えた人間も元通りになります。
そして、ジャイアンやスネ夫に野次を飛ばされながら野球の練習をするのび太のシーンでこの話は終わります。
他人は変えられないし、変えられたとしても意味が無い
この話で思ったことは、嫌いな人がいるからといってその人をいたぶろうとしたり、仲間外れにしたり、逃げようとしても仕方が無いということです。
その人が自分の周りからいなくなってもまた新しく嫌いな人が生まれ、それが繰り返される。
こち亀でも似たような話があります。両津が他の場所で勤務するようになった際、大原部長はこれで楽になると思いきや、いつも雷を落としている両津がいなくなったことで逆に怒りが増し、その矛先が中川や麗子に向くようになりました。
機嫌を悪くしている人は常にその怒りをぶつける相手を求めていて、普段怒りをぶつける人がいなくなれば新しい人を求める。その繰り返しで、結局感情の原因は他人じゃなくて自分自身のコントロールが原因なのです。
逆に言えば上手く自分の気持ちをコントロール出来るようになることで他人に対して怒りの感情を持たなくなり、他人に対するストレスが減るのです。
例えば嫌な上司がいる職場なら会社から出てしまえば通行人と同じ。会社の中にいる間だけの関係だと割り切ってスルー出来るように自分の気持ちを持っていくことが色々な人間が蔓延る社会において最善の生き方です。
この話は人間社会を生きる上ですごくリアルに感じられるし、どうやって乗り切ればいいのか考えさせられます。ぜひ読んでみることをお勧めします。
最後までご愛読、どうもありがとうございました。