のんびり読書記録

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【書評】きみがいれば空はただ青く

 どうも。takaです。今回の記事では、スターツ出版文庫の「きみがいれば空はただ青く」について書いていきます。

 


きみがいれば、空はただ青く (スターツ出版文庫)

 

ストーリー

 主人公のあおは、手術の後遺症でそれまでの記憶を無くし、以前の自分は母や親友とどのように接していたのかが思い出せず、記憶が無くなる以前の自分でないことが二人を苦しめているのではないかと思い、そのことで罪悪感を抱き、無くした記憶を取り戻そうと色々試してみたりします。

 そんな状況が続いたある日、謎の少年・颯と出会い、話しているうちに気持ちが楽になり、彼に自分の現状を話します。そして彼からアドバイスをもらい、あおは自分の現状を受け入れ、心のわだかまりを無くし、次第に過去の自分を取り戻そうとするのではなく、新しい自分としてこれから先の人生を生きるべく行動していきます。

自分に優しくしてくれる人を大切に

 この作品の魅力はまず記憶を無くした人視点で読めるのが新鮮です。そのお陰で読んでいると記憶を無くした人の気持ちになって読むことが出来ます。そして、次の魅力は、アニメや漫画の記憶喪失ものの話だと、頭に何かぶつけるなど、ふとしたことで最終的に記憶が戻るという展開なのですが、この作品にはそれがありません。

 この作品の主なテーマは、自分が困って悩んでいる時に背中を押してくれる人の大事さなのだと思います。

 何か思い悩むことがあって一人で何か抱えていても、良いことは思い浮かばずただ辛くなるだけでただただ時間が過ぎていく。しかし、自分の背中を押してくれる人がいれば、孤独感が無くなって心が楽になって今の状況を受け入れ、前を向いて生きていく気力が湧いてくる。それに伴って生きていることに充実感が増してくる。この本はそのことを教えてくれます。

 あおも颯が背中を押してくれて心が楽になったから自分の心と向き合う勇気が生まれ、母と親友に自分の本音を話そうとする気持ちになりました。

失ったものは仕方が無い。だから受け入れることが大事

 母も親友もあおに過去の話はしますが、二人共あおに記憶を取り戻して欲しいと迫って来ない所が「これまでのあなたが戻って来なくてもいいよ」という意思が伝わってきてまた前向き感が出しています。

 どんなに後悔しても、失ったものは戻って来ない。そこでいつ出てくるかも分からない失ったものに固執していくよりも、固執することをやめることで新しく気持ちをリセットした方がポジティブです。どちらを選ぶかで保守的か、挑戦的なのかが分かる所ですね。

 

 本当に読んで感動した本です。真っ暗で目の前が何も見えなくて寂しかったり、悲しかったりした時に読んでみると特に泣けると思います。

 

 
きみがいれば、空はただ青く (スターツ出版文庫)