のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【小説】傲慢と善良|婚活から見える人間の本質

 

 愛は一方的では成り立たない。だから結婚したいと思っても相手が拒絶してしまったら出来ない。

 もしくは今の生活に慣れて変えたいと思わずズルズルと歳を取っていって独身のまま老人になってしまったり。

 「傲慢と善良」は「結婚」を通じて人の本質に触れています。

 

 以下が感想です。ネタバレもございますのでご注意下さい。

 

ストーリー

 西澤架は婚活で知り合い、付き合い始めた坂庭真美と結婚することになりました。

 しかし、ある日突然真美は架の前から姿を消します。

 慌てた架は彼女を探すため、彼女の地元に赴き、彼女の過去を知っていくことになります。

 

感想

【1】結婚は明確な目標が必要

 架は真美と知り合う前、付き合っていた女性がいました。

 その女性とは趣味も合い、良い感じだったのですが、架は結婚について全く考えておらず、彼女が結婚したいと言ったのを「年齢的にまだ早いじゃないか」と引いた反応をしました。

 彼女は親が元気なうちに子供の顔を見せたいと考えていたためにそう言ったのですが架はそんな彼女の気持ちに答えず、結局彼女は別れを切り出して別の男性と結婚しました。

 彼女は結婚し、子供を産んで親に孫の顔を見せてあげたいという目標があったのに対し、架は結婚について全然考えていなかった。

 目標を持っていたかどうか。これが二人の違いでした。

 特に女性は結婚したら次は出産と大変なことが控えているし、出産は歳を重ねると難しくなるし、子育ては体力が必要なので年齢を計算する等将来を見据えて若いうちにすべきだと思います。だから架みたいに年齢的にまだ早いなんて言葉は、女性には通用しません。

 それにも関わらず結婚する気が希薄だった架にイライラしました。

【2】人は無意識のうちに他人を品定めしている

 学校や職場でもクラスメイトや同僚の容姿や振る舞いを見てこの人と仲良くなりたい、この人とは関わりたくないと思うことがあるのではないでしょうか?

 これは婚活にも言えることで、人間は無意識に他人に点数を付けてしまいます。決して褒められたことではなく、何様だよと思いますが、人間は自己評価が高い。だから自分に見合った人でなければ結婚したくないと傲慢な気持ちが邪魔をし、そういった人はなかなか結婚出来ない。

 結婚相談所や婚活アプリではなく、プライベートで知り合って、付き合って愛を育み、結婚したいという理想も邪魔していると思います。

 それでも、最初は確かにピンと来ないと思っても、結婚して一緒に生活していくことでそれが変わるかもしれない。結婚してから愛を育むという形もあるのに、結婚前から愛を育むということに固執しすぎではないかと感じました。

 そんなことをしていたら年齢重ねてますます厳しくなるんだから、婚活みたいに、結婚を前提とした付き合いならば、結婚してから愛を育んだ方が良いんじゃないかと思うのですが・・・・・・。

 結婚相談所のおばあさんの言葉が重くのしかかりました。

 

【まとめ】人間の心には傲慢と善良が同時に存在する

 架と真美の行動を見ていくと、同じ人間でも善良の部分があり、傲慢な部分があることが分かります。だからこの人は善良、この人は傲慢と決めるものではありません。

 真美は親の言いつけを守って嘘を付かないで生きてきたけど、婚活となると容姿が良い架のアプローチには喜んでおいて、それより前に知り合った相手は自分には釣り合わないと断ってきた。

 前者が善良で後者が傲慢。傲慢は全くダメな考えで、点数付けられたらじゃあお前はどのくらい価値あるんだよと言いたくなるし、逆に自分が点数付けたらそう思われるだろうし、だから作中の言葉がチクチクと痛みました。

 

 特に結婚相談所のおばあさんと架の女友達の言葉にこの本のタイトルがぎっしり詰まっているので彼女達の言葉はすごく共感出来ました。たまにその部分だけ読んでいます。

 

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