のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【書評】アリスの棘

 どうも。takaです。今回は「アリスの棘(宝島社文庫)」についての感想です。2014年にドラマ化もされました。

 

 

 

ストーリー

 主人公の水野明日実は、子供の頃病院で行った手術により父を亡くし、そしてそれが病院関係者の陰謀であることを知りました。それ以来彼女はずっと復讐に身を捧げ、医師として父を殺した病院に勤め、当時手術に携わった人間に復讐していく物語です。

 

復讐は正しいのか?

 この物語は「復讐」を客観的に見ることが出来ます。主人公の行動の動機は父の仇です。

 身内を殺された気持ちは理解出来なくもないですが、復讐を果たした所で死んだ人間はもう戻って来ないし、その過程で関係の無い人を巻き込んでしまえば同類になってしまう。

 さらに他人への暴力、殺人は1回やってしまうと2回目以降は最初よりも簡単に行えるように心が変化してしまいます。復習の形も、身体的に殺すのではなく、社会的に殺すといった復讐といえども自己満足でやってしまったら自分の人生を滅ぼすし、逆に自分が恨まれることにもなりかねません。加害者にも生活、家族がいる。それを失ってしまえば怖いものが無くなるから危険です。

 そのため結果的に裁判をして、両者が納得するという形で終わるのがが一番平和で理想的です。裁判というものが無ければ、世の中が滅茶苦茶になってしまうだろうとこの本を通じて裁判の重要性を改めて思いました。

 また、仮に裁判で死刑を求刑して死刑になったとしても、それは自分が殺せと言ったから加害者は死ぬことになった。そうなれば自分が殺したのと同じ。

 だから死刑は簡単に出来るものではないのかなと感じます。

 

 医療ミステリーが好きな人にお勧めです。