のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【書評】青の炎

 どうも。takaです。今回は貴志祐介氏の「青の炎」についての感想を書いていきたいと思います。

 

 

ストーリー

 湘南の高校に通う櫛森秀一は、女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。そんな平和な家庭に母が再婚し、すぐ別れた男が入ってきて居座るように。三人の幸せを邪魔するこの男をどうにかしないといけない。しかし、警察にも法律にも頼ることが出来ないと知った秀一は、自分の手でこの男を殺すことを決意します。

 

犯人メインのミステリー

 この作品はミステリー小説に分類されていますが、犯人が誰なのかではなく犯人がどうやって警察に気付かれることなく人を殺すか?もし実際に人を殺すのであれば誰もが考えるであろうことを描いているので感情移入しやすく、リアルっぽさが出ています。

 

なぜ殺人はいけないのか

 作中で秀一の友人が「瞋恚は、三毒の一つ。一度火をつけてしまうと瞋りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くすことになる」と言っているシーンがあります。

 つまり、怒りを爆発させてしまうと抑えることは出来なくなり、自分すら滅ぼしてしまう。

 秀一は周到に計画を練り、男を殺すことに成功します。これで元通りの生活になる。と思いきや殺した時に尾行されていたことに気付かず、そのことを知られてしまったことで強請ってきた幼馴染も殺してしまいました。しかも一回目に比べて躊躇いも感じず殺す選択肢を選びました。しかし、秀一は喜ぶという気にはならず、むしろ心が壊れ始めていきます。

 ここで思うのは、殺人が決してやってはいけないと世の中で言われているのは、人の命は誰にも奪う権利が無いからというのではなく、人を殺した所で心がスッキリすることなんてなく、いつ自分の元に警察が来るのかという恐怖だったり、生涯人殺しという不名誉なものが付きまとうことで心を苦しめる。

 つまり、自分の首を絞めるだけにしかならないから殺人はやってはいけないものだと思うのです。

 そして、どんなに完璧な計画だと思った所で警察は時間がかかってもいずれ真相に辿り着く。だから一生逃げのびることなんて絶望的であることも肝に銘じておきましょう。

 

 ぜひお勧めしたい本です。