のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【書評】AX アックス

 どうも。takaです。今回はこちら、伊坂幸太郎氏の作品「AX アックス (角川文庫)」について書いていきたいと思います。

 

ストーリー

 主人公「兜」は普段は営業マンですが、超一流の殺し屋。しかし、家では妻には頭が上がらず、息子からも呆れられています。

 引退したいと考えつつもお金の為に続けている殺し屋の仕事。そのことを家族には知らせておらず、家族の知らない中で物騒な世界に生きる。そんな彼の物語です。

人生はやり直せるのか?

 以前は不良だった人が更生して真面目に働くようになる。それが美化されている節があります。

 しかし、はたして本当にそうなのか?と思います。例えば「こち亀」の42巻で昔ワルやっていた人が更生したのを見て褒める中川達に対し、両津はバッサリ斬ります。

 

出典:秋本治 こちら葛飾区亀有公園前派出所 42巻 集英社

 両津の言う通り、こういった人間が賞賛されたら被害に遭った人は怒りに震えると思います。殺人を犯した人が刑務所に入って更生して社会に復帰したとしても、殺された人の遺族は殺された身内の人生を奪ったのだから一生許す気になんてなれないでしょう。

 漫画「H2」に出てくる広田はより楽して勝つために故意にバッターにぶつけたりしていて、肘を壊して野手に転向してからはそういったプレーはしなくなりました。それを立派だと言うべきか?と言われたら決して立派ではありません。

 なぜなら更生した所で彼のせいでたった一度の高校野球を台無しにされた人達の時間は巻き戻らないからです。

 兜は殺し屋として多くの人間を殺めてきました。殺された人の中にも自分と同じ家庭を持っている人もいたことでしょう。だから殺し屋を辞めてまともな人生を送りたいと思ってもそれが許されるのか?そういった葛藤も描かれています。

 

 やっぱり両津の言う通り、最初からワルをやろうなんて考えず、真面目にやっているのが正解だと思います。

上手くいく家庭とは?

 妻の尻に敷かれる家庭、亭主関白な家庭でも上手くやっていっている家庭というのは、片方が嫌々従っているからなのではなく、そこに思いやり、信頼関係があるからなのだと思います。

 兜がボルタリングで知り合った男性は主人公と同じで奥さんには頭が上がりませんでしたが、それが溜まりかねてその不満が爆発して故意ではないものの、殺人を犯してしまいました。
 それに対して兜が不満に思うことはあっても離婚しようと思わなかったのは、妻は怖いけど妻も仕事をしているし、子供の世話もしているから大変であると認識していること、そして不満以上に家族を愛していたからです。

 不満があったとしても受け入れることが出来るか否か、相手を思いやっているか信頼しているか、不満より愛情が上回っているか、それが二人の違う所だと思いました。

 

 色々教訓になることが書かれているのでぜひお勧めします。