のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【書評】盲目的な恋と友情

 どうも。takaです。今回は辻村深月氏の作品「盲目的な恋と友情」についての感想を書いていきたいと思います。

 

 

あらすじ

 タカラジェンヌの母を持つ一瀬蘭花は自分の美貌に無自覚で、恋も知りませんでしたが、大学時代、オーケストラとして迎えられた茂実星近との出会いが人生を変えることになります。茂実との恋愛に溺れる蘭花でしたが、彼の裏切りを知り、ある日終焉を迎えることに。

 その二人の歳月を蘭花の友人として見つめてきた傘沼留利絵の目からは別の真実が見えることに。

 女性二人の視点から恋愛、友情を描いた作品です。

 

相手の人間関係に口を挟みたくなるのが分かる

 留利絵は蘭花と違って容姿に恵まれず、小学生時代から容姿のことでよく男性にからかわれていました。大学に入って蘭花と知り合い、友人になったのですが、茂実との恋愛に溺れて周りが見えなくなってしまった蘭花は次第に苛立ちを募らせてはっきりと別れるべきだと言うようになります。

 世間ではよく「自分が誰と絡もうがそんなの勝手」と言います。そう言われたらそれまでになってしまうし、そうなんでしょうけれども、この作品を読んでいると口を挟みたくなる人の気持ちが本当に分かります。自分も読んでいて「さっさと縁切れよ」と何度も言いたくなりました。

 では、なぜ人間関係に口を挟みたくなるのか?というと、自分の考えとしては相手が見ている視点が思いっきり違うことからだと思います。

 友人がプラスの方向に見ているのだとしたら、自分はマイナスの方向で見ている。そして人は友人関係もそうですが、相手から優しくされたり肯定されると周りが見えなくなって視界が狭くなりがちです。だから他人の言っていることの方が正しいことが多々あります。宗教とかそうですね。あとオンラインサロンとかセミナーもそうだと思います。ホリエモン教だとか揶揄されるし。

 

 私の体験談としましては、ある日職場で後輩の女性が「人情味があるから○○さんのこと大好きなんですよ~」「○○さんと私仲良いんですよ~」とか私に言ってきたことがありました(名前は伏せます)。

 それに対して余計なことだったと思いますが後々知って傷付かないように警告の意味で「○○さんはああ見えて割り切る所は割り切ってる、ドライな人ですよ。だからあなたのことを友人とまでは思っていないと思います」とはっきり返しました。職場は労働の対価としてお金を受け取る所。お金貰えなかったら絶対来ませんからね。

 

 まあ、その後自分が言ったことを告げ口されて本人に怒られたのでもうしないと決めましたけど。

 

 とにかく、意見に耳を傾けるかどうかは本人が決めることだし、気付かなかったことに気付かせてくれることもあるので選択肢を増やすという意味合いで、外野が口を挟むのは全然非難されることじゃないんじゃないかなと思います。

 

 この作品は容姿に恵まれた女性、恵まれなかった女性の二人視点で描いた作品で、すごい人間関係がリアルに感じられるのでお勧めです。