京都といえば金閣寺や銀閣寺といった世界遺産が多く、また、自然が楽しめる街としても有名。
そんな京都を舞台にした望月麻衣氏の作品、「わが家は祇園の拝み屋さん」についての感想を書いていきたいと思います。ちなみに作者も京都在住のようです。
あらすじ
東京に住む櫻井小春は、ある理由で中学の終わりに不登校になってしまっていました。そんな折、京都の祇園で和雑貨店「さくら庵」を営んでいる祖母・吉乃から店の手伝いをしないかと誘われ、小春本人も救われた思いがして京都に行くことになります。
「さくら庵」には吉乃の他に和菓子職人の叔父・宗次郎が働いており、他にも美形ではとこである澪人といった家族に囲まれ、元気になっていきます。
しかし、吉乃は「拝み屋」の力を持っていて、お祓い等の不思議な依頼が舞い込んでくる店でもありました。
感想
【1】自分の周りの人の大切さ
小春はあることがきっかけで不登校になってしまいましたが、その前は学校も楽しく、恵まれていると思える人生を送っていましたが、不登校になった後は人と顔を合わせることが怖くなり、心もどん底にまで落ちてしまいます。
しかし、京都で身内に優しくされながら元気になっていきます。
地方から東京に来たものの、都会に馴染めずに地元に戻ってしまう等、悪い方向に働くこともあるかもしれません。ましてや不慣れな土地だと頼れる人もいないだろうし、弱音を吐きたくなることもあるでしょう。
それでも慣れてくると気に入って生活が充実するようになることもあります。その要因は人だと思います。優しく、困った時に助けてくれたりする人にまず出会うことが上手く生きていくために必要だと思いました。
【2】和菓子が食べたくなった
叔父が和菓子職人ということもあって、作中でも和菓子が出てきます。叔父は東京で修業したので違いますが、京都で修業した職人が作った和菓子は「京菓子」と呼ばれ、四季を彩るデザインがあります。
和菓子には美味しいという満足の他に、季節を感じたり、和菓子の菓銘について会話が弾んだり、旅先で由来となった場所を訪れて歴史を感じたり、食べること以外の愉しみもあり、安らぎや団らんにつながることから「心の栄養」になるともいえます。
この本を読むと和菓子が食べたくなり、和菓子とお茶をつまみながら読みたいなと思いました。