のんびり読書記録

自分がこれまで読んだ漫画、小説、ビジネス書等、マイペースにのんびりと書いていきます。

【書評】ビタミンF

 どうも。takaです。今回は重松清氏の「ビタミンF(新潮文庫)」の感想を書いていきたいと思います。

 

ストーリー

 Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortuneといった〈F〉で始まる様々な言葉をキーワードに書かれた全部で7編の短編集です。

 

家族とは

 最後の話で、子育てを終えた主人公の母親が父の元を去り、そのことを恨んでいました。

 家族っていうと「サザエさん」や「クレヨンしんちゃん」みたいに仲良くずっと一緒のようなイメージがあるかもしれません。

 しかし、実際子供は成長して学校を卒業して社会人になれば自立して実家を離れることもあるし、結婚して自分の家庭を築くことも出来ます。親も年を取って老いていき、先にいなくなってしまうため、ずっと今の状態が続く訳ではありません。

 主人公の姉の元夫が主人公に対し、「家庭っていうのは、みんながそこから出て行きたい場所なんだよ。みんなが帰りたい場所じゃない。逆だよ。どこの家でも、家族のみんな、大なり小なりそこからでていきたがってるんだ。幸せとか、そんなの関係なくな」と言いました。

 加えて、「家族をみんなが帰りたがっている場所だと思っているなら何で家を出て行ったのか?家を出たから家族を作れたんじゃないか。出て行った人に出て行った人を責める資格なんて無いんじゃないか」と言いました。

 家族は仲良い所もあるし悪い所もあります。私の家庭は夫婦仲も良いわけではなかったのでずっといたいという気持ちはあまりありませんでしたし、両親がいなくなった後のことが不安だから結婚したい気持ちがあります。だからこの言葉は胸に刺さりました。

人間関係においてプライドは邪魔

 他の話でも、父と家族の関係について、父のプライドが非常に邪魔をしていると思う描写がありました。プライドっていうのは持っていても仕方が無いと思っていても簡単には捨てることは出来ないものです。自分もプライド高いと認識していて、他人にも指摘されて呆れられることがありました。

 しかし、プライドを捨てて接することで、打ち解けられて気持ちが楽になるんじゃないかっていう思いがあるのも事実。

 プライドを完璧に捨てるのは難しいのだろうけど、少なくとも人と接する時は捨てる。捨てるという表現が嫌なら横に置いておく。自分の体験も踏まえてそう思いました。

 

 感動する話ですし、家族について色々考えさせられる作品ですのでぜひお勧めです。