のんびり読書記録

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【書評】『僕は僕の書いた小説を知らない』(双葉文庫)

 どうも。今回はこちらの小説、「僕は僕の書いた小説を知らない(双葉文庫)」の感想について書いていきます。

 


僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)

ストーリー

 このお話の主人公は、昨日の記憶を保持出来ず、仕事を覚えたり、新しい人間関係を作ることが困難なので会社に入ってもうまくやっていけないと思い、就職することを諦め、小説家として生きていこうと決意し、毎日記録を書いて翌日になったら前日書いた記録を見てそれを参考にしながら小説を書いていきます。

 記憶が失われるためか、日付毎に文章も同一人物だけど違う人物だと感じるように書かれています。読んでいてまるで主人公の中には何人もの人格が宿っているみたいに感じます。

 物語の時系列は、2017年あたりになります。現実の2016年に起こった「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の連載終了、人気アイドルグループ「SMAP」の解散について書かれている所があるのでリアルだなと思います。

交友関係は広く浅くより狭くて濃い関係の方が良い

 前述の通り、主人公は前日の記憶が維持出来ません。しかし、そんな状況を理解していて、亡くなった両親の代わりに主人公の生活面を支えてくれる妹がいて、他にも学生時代の友人、バーのマスター、担当編集者、そして自分が書いた小説の登場人物のモデルとした女性といったキャラクターが主人公の精神的な支えになってくれているなと思いました。この人達とは良い信頼関係が築かれていると感じました。

 次の日になると主人公はモデルの女性の名前を忘れてしまいます。けれども女性はそんな主人公を笑って受け入れる。そしてこの女性が一番主人公に大きな影響を与えます。小説を書く過程で追い詰められた状況でも、彼女と関わることで、立ち直り、また執筆を再開する。

 

 この作品を通じて思ったことは、狭くて濃い交友関係にある人達は、自分が困った時助けてくれたり、励ましてくれたり、後押ししてくれたりと、自分の人生を支えてくれる味方でいてくれます。読んでいてとても心温まりました。


僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)

 

 

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 最後まで読んで下さり、ありがとうございました。